駒の価値と「ひも」— タダで取られないための考えかた
この記事で扱うこと
チェスを覚えたばかりのうちは、うまい手を指せなかったせいで負けることよりも、駒を一枚ただで取られたせいで負けることのほうが多くなります。動かした先が相手の駒の利きの中だった、あるいは動かしたことで別の駒が守られなくなった、といった場面です。
この記事では、それを防ぐための三つのことを説明します。駒の価値の数えかた、駒が守られているかどうかの確かめかた、そして複数の駒が絡んだときの数えかたです。
駒の価値を数字で覚えます
どの交換が得でどの交換が損かを判断するために、駒には目安となる価値が決められています。ポーン1枚を1とした数字で表します。
| 駒 | 価値 |
|---|---|
| ポーン | 1 |
| ナイト | 3 |
| ビショップ | 3 |
| ルーク | 5 |
| クイーン | 9 |
| 王 | 数字では表しません(取られたら負けのため) |
この数字は、駒の交換を計算に変えるためのものです。自分の5の駒を渡して相手の3の駒を取ったのであれば、2の損だと分かります。取り合いが何手続いても、やっていることは足し算と引き算だけです。
なお、この数字はあくまで目安です。実際にはビショップのほうがナイトよりわずかに強いとされる場面が多く、局面によっては数字どおりにならないこともあります。ただし、覚えたばかりの段階では、ビショップとナイトはどちらも3として扱って差し支えありません。
駒が守られているかどうかを確かめます
ある駒が取られたときに、こちらから取り返せる味方の駒がいる状態を、この記事では「ひもがついている」と呼びます。守られている、と言い換えても構いません。
まず、守られていない場合を見ます。
次に、守りを一枚足した場合を見ます。
この二つの図の違いは、赤のナイトが一枚あるかどうかだけです。それだけで、白が取れるかどうかが変わります。
ここから、次のことが言えます。自分の駒には、なるべく守りを付けておきます。相手の駒を狙うときは、それが守られていないかどうかを先に確かめます。 戦術の多くは、この二つのどちらかをやっています。
複数の駒が絡むときは、数を数えます
駒が二枚以上絡んでくると、一つずつ見ていっても判断できません。そのときは、そのマスに利いている駒の枚数を、両方の側について数えます。
数えかたの目安は次のとおりです。
- 攻めている枚数が守っている枚数より多ければ、取れば得になることが多くなります
- 枚数が同じであれば、取り合っても損得はないか、少し損になります
- ただし、価値の低い駒から順に取るのが原則です
三つめは見落としやすいところです。枚数が足りていても、クイーンから先に取りに行けば、9の駒を渡して1の駒を取ることになりかねません。ポーンで取れる場面では、ポーンで取ります。
指す前に確かめる三つのこと
慣れるまでは、指す手を決めたあと、実際に指す前に次の三つを確かめてください。慣れれば数秒で終わります。
- いま動かそうとしている駒は、その行き先で取られないか。行き先のマスに相手の駒が利いていないかを見ます。
- その駒を動かすことで、後ろの駒が守られなくなったり、相手の利きにさらされたりしないか。ビショップをどけた結果、その後ろにいたクイーンが相手のルークと同じ列で向き合ってしまう、という形がよく起こります。
- 相手が直前に指した手は、何を狙っていたのか。狙いが見当たらなければ、「特に無い」で構いません。
この三つを毎回確かめるだけで、序盤で大きく崩れることはほとんどなくなります。上達した人がこれをやっていないように見えるのは、慣れて速くなっただけで、確認そのものをやめたわけではありません。
レベル1と2で練習する
チェスのページを開き、強さを1か2にしてください。
このサイトのAIは、レベル1と2では1手先しか読みません。ただし、駒の取り合いが続いているあいだだけは、最後まで読み切るようにしてあります。そうしないと、「クイーンでポーンを取ったところで数え終わり、次に取り返されることが見えない」という指しかたになってしまうためです。
この作りのため、レベル1と2は次のような相手になります。
- こちらが駒をただで置けば、必ず取ってきます。見逃すことはありません
- 二手以上かけて狙ってくる仕掛けは、ほとんど出てきません
つまり、この記事で説明した内容だけを試すのに適した相手です。安定して勝てるようになったら、第1段は終わりです。次はフォークに進んでください。
- 次に読む記事 → フォーク(両取り)— 一手で二つを狙う
- 全体の地図 → チェスの戦い方 — 何をどの順で覚えればいいの?
記事を読んだら、遊んでみる
強さは11段階。勝てる相手から始められます。
