覚えておく詰みの形 — バックランクと窒息メイト
詰みは、形で覚えるものです
詰みを見つけられる人と見つけられない人の差は、読む速さの差ではありません。知っている形の数の差です。
強い人は、盤を見た時点で「この形は、知っている詰みの形に近い」と気づいています。そのうえで、あと何を足せばその形が完成するかを考えます。つまり、完成した形を先に知っていて、そこへ持っていく道筋を探しています。
そのため、詰みの勉強は形を覚えるところから始めます。よく出る形をいくつか知っていれば、盤の上でそれに近い形に気づけるようになります。この記事では、実戦で出てくる回数の多い三つの形を扱います。
1. バックランクメイト(一段目の詰み)
キャスリングをしたあとの王は、自分のポーンに前をふさがれた状態になります。この状態で、王のいる段に相手のルークかクイーンが入ると、逃げ場がなくなります。この形をバックランクメイトといいます。
やられる側から見ると突然に感じますが、防ぐ方法は決まっています。ポーンを一つ進めて、王の逃げ道を作っておくことです。
この逃げ道のことを、ルフト(ドイツ語で空気という意味)と呼びます。キャスリングをしたあと、手が空いたときにポーンを一つ進めておくだけで、この形の詰みはほとんど防げます。
ただし、進めるのは一つで十分です。二つ、三つと進めると、今度は王のまわりが薄くなり、別の攻めを受けやすくなります。
2. 支えのあるクイーンは、王の隣に入れます
クイーンは、一枚だけでは相手の王を詰ませることができません。王の隣に入っても、王に取られてしまうためです。
しかし、そのマスを味方の駒が守っていれば、話が変わります。王はそのマスへ移動できないので、クイーンを取れません。
ここから分かるのは、クイーンを相手の王の隣に置けるかどうかは、そのマスを味方が守っているかどうかで決まる、ということです。
支える駒は何でも構いません。ビショップ、ナイト、ルーク、ポーン、あるいは離れた位置にある自分の王でも守りになります。終盤で「あと一枚あれば詰むのに!」と感じる場面の多くは、この支えが足りていない状態なのです。
3. 窒息メイト
ナイトには、他の駒にはない性質があります。駒を飛び越えられることです。そのため、相手の駒に囲まれた王に対しても、囲いの外から王手をかけられます。
この形の特徴は、守りの駒が多いほど詰みやすくなる点です。王のまわりを固めている駒が、そのまま王の逃げ道をふさぐ役目をしてしまうためです。
窒息メイトは、クイーンを捨てて作ります
実戦では、図4のように都合よくルークが g8 にいてくれることは、まずありません。そこで、相手にルークを g8 へ動かさせます。
1. Qg8+ クイーンを、相手の王のすぐ隣に捨てます。h6 のナイトが g8 を守っているため、赤の王ではこれを取れません。
1… Rxg8 ルークで取るしかありません。ほかに王手を受ける方法がないためです。そしてこの手によって、g8 は赤のルークでふさがれました。
2. Nf7# ナイトが h6 から f7 へ跳んで詰みです。g8 はいま取ったばかりのルーク、g7 と h7 は自分のポーンでふさがっています。
この手順は古くから知られており、フィリドールの遺産と呼ばれています。
ここで注目したいのは、クイーンを捨てた理由です。駒を得るためではなく、相手のルークを g8 へ動かすためです。相手に駒を取らせることで、相手の駒の位置をこちらが決めています。次の段で扱う犠牲の考えかたは、ここから始まります。
詰みの探しかた
盤の上で詰みを探すときは、駒の数ではなく、相手の王の行けるマスの数を見ます。
- 相手の王の行けるマスは、いくつあるか。まわりの8マスのうち、いくつがふさがっているかを数えます。
- ふさいでいるのは、どちらの駒か。相手自身の駒がふさいでいるのであれば、こちらに有利な材料です。
- 残っている行き先を、あと何枚で消せるか。
- 王手をかける駒は、取られないか。取られるのであれば、そのマスを守る駒を足せないか。
行けるマスが二つ以下になっていれば、詰みがある可能性は高くなります。反対に、四つ以上残っているうちは、詰みを探すよりも駒を得る手を探すほうが早いことが多くなります。
レベル5から6で練習する
チェスのページを開き、強さを5か6にしてください。
レベル5は4手先まで、レベル6は5手先まで読みます。したがって、二手で完成する詰みは確実に防がれ、三手で完成する詰みは形によっては通ります。通ったかどうかで、自分が組み立てた詰み筋が何手ぶんだったのかが分かります。
なお、この範囲まではわずかに手加減が入っています。レベル6の手加減の幅は0.34ポーンぶんで、小さい値ですが、まれに最善ではない手が出ます。手加減がまったく入らないのはレベル10とEXだけです。
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強さは11段階。勝てる相手から始められます。
